ONLOOKER Ⅳ


ナツはいつのまにかまた、あの笑顔を浮かべていた。
氷像のように固まって動かないシュンたちに、綺麗すぎる微笑を浮かべて。
きっともう、誰も正常ではない。

「あぁ、それがイヤならさぁ」

噛み締めるような発音で言って、ナツはふと、コウキを見た。
コウキはそこから何を読み取ったのか、視線を、マサトやシュンやユカリやナオに向けて、言う。

「犯人は罪の意識に耐えかねて自殺、って手もあるよね……?」

ヨリコは、コウキの隣に歩み出た。



「さて、」

マサトたち四人が、その笑わない笑顔に感じたものは、ただただ、絶望だけだった。



「誰に罪を被ってもらおうかな?」






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