ONLOOKER Ⅳ

意外性のお話


 ※※※


「なんか、石蕗は髪型くらいしか変えてないんだな。沖谷とか佐野は正反対のキャラ設定してあんのに」
「そりゃ……紅は演技できないからねぇ。」
「だ、だから私は出ない方がいいと……!」
「駄目ですよ、紅先輩なにげに重要な役どころなんですから。じゃなきゃ自分がわざわざこんな格好する意味なくなるし」
「いいじゃんナオくん、似合ってるよ?」

き、と視線を寄越した直姫に、准乃介が笑う。
今日の分の撮影は残るところ、あとワンシーン。
居吹は血糊のメイクが大変なため、出演シーンを先にまとめて撮ってしまっているのだ。

そんな居吹がしているのは、役柄と普段とのギャップの話だった。
真琴は無愛想で生意気、恋宵は泣き虫で怖がり、聖は頼りない箱入りお坊っちゃん。
准乃介に至っては、豪華絢爛な校舎に似つかわしくない、ド迫力のヤンキーだ。



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