ONLOOKER Ⅳ


「コウキ先輩、法医学も?」
「いや、一応かじったぐらいで……ほんと、たいしたことは」

できるだけ竹田の顔を見ないように、作業を進めていく。
なにか話していないと駄目なのか、マサトの言葉に、律儀に返事を返している。

「まだ硬直がはじまってない。体温も下がりきってないし、死斑から見てもたぶん、死後……30分から1時間半……てとこ、かな」
「て、ことは……7時から8時の間ぐらいか……」

ナツが、腕時計を見る。
現在の時刻は、8時半。
校舎に誰もいなくても、少しも不思議はない時間だ。

つまり、誰にもこの状況が気付かれないかもしれない、ということでもある。



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