ONLOOKER Ⅳ


なんとなく全員そこに留まって、緊張しながら、扉を開ける。
生徒相談室、なんて、空き部屋を埋めるために作ったような名目の部屋。
ナツはドアノブに手をかけた。
ゆっくりと、押し込む。

「……誰も、いませんね」

数秒のあと、コウキの声に、誰かが深く溜め息を吐いた。

「窓も一応見て来ます」

電気を点けて、そう言って中に入って行ったナツの後を、誰も追わなかった。
緊張が一気に解かれて、体が咄嗟に動かなかったのだ。

これで、今は北校舎には映研部の七人しかいないということが、証明された。
間もなく戻って来たナツの言葉によって、窓から誰かが脱出した形跡も、自分たちが窓が脱出できる可能性も、ないことがわかる。
二階とはいえ高さがあるため、人が落ちない程度にしか開かない作りになっているのだ。



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