ONLOOKER Ⅳ
しかし、そんな打算に満ちた彼らの躊躇を、シュンはすべてわかっていた。
わかった上で、あんな風に無理矢理しらを切るような真似をしていたのだ。
シュンは、冷えた笑みを浮かべて言った。
「なぁ。お前らさぁ、俺のこと疑ってんだろ?」
ナツやマサトでさえ、目を逸らす。
シュンのあの態度は、故意犯的なものだったのだ。
怪しまれるとわかっていてあえて、疑われるような言動をしていた。
そしてなにも言えないとわかっていてあえて、言わせようとしている。
「先輩だからって遠慮してないで、言いたいことあんなら言えば?」
「いえ、別に……」
「ふぅん……殺人犯扱いはさすがにできねぇか。どうなるかわかったもんじゃねぇもんな」
自分に強く出られない後輩たちで遊ぶように、にやにやと口許だけを微笑ませて、言う。
ナツが、苦い表情を浮かべた。