ONLOOKER Ⅳ



「たかだか何個か賞取ったのがそんな偉いかよ。人の役に立つような発明ならまだしも、ただの映画じゃねーか。バカじゃねぇの?」
「シュン、」
「めんどくせぇ。無理に入部させたのはお前らだろ。『悠綺高校の映研には“あの”荻野監督の息子がいる』って、そんだけでハク付くもんなァ。俺を利用したかったんだろ? 俺のおかげで部費も増えたし援助もしてもらったよな。もう十分オイシイ思いさせてやったじゃねぇか、だったら俺だって利用してもいいよな。ユカリなんかなぁ、自分が疑われたくなかったら、俺とずっと一緒にいたことにすりゃいいっつったら、簡単に鵜呑みにしてんの。意外とバカだよな。なぁ、お前らもだよ、誰がどんな嘘言ってるかなんてわかんねぇだろ。口裏合わせの打ち合わせする時間ぐらい、たっぷりあったじゃねぇかよ」

淡々と語るシュンの言葉に、ヨリコは泣いていた。
ナオは震えるほど拳を握っていて、コウキは強張った肩を、一ミリも動かせずにいた。



「なぁ、オイ。気付いてないわけねぇよな、…………誰も信用できねぇんだよ、今!!」



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