ONLOOKER Ⅳ
シュンが、俯いて深い溜め息を吐いた。
彼のあの態度の理由を、頭ではわかっても、今ユカリが何を言ったのか、飲み込むのには随分時間がかかった。
ユカリが、もう一度、ゆっくりと言う。
「竹田先生を、殺したのは、……私なんだ」
シュンの制服の袖を握りしめて、ナツたちに背を向けたまま、震える声を絞り出した。
シュンは一度顔をしかめ、無理矢理に厳しい表情を作り直す。
「ユカリ……てめぇバカ言ってんじゃねぇよ」
「……シュン先輩……知ってたんですか……?」
「はァ? んなわけねぇだろ、こいつテンパっておかしくなってん、じゃ」
「シュン……っ」
ユカリが、シュンの顔を見上げる。
彼女の表情は、シュンにしか見えていない。
もういいってば、と、もう一度言った。
「シュンは全部知ってる。さっき、他に誰か残ってないか、一階を探しに行った時に」
全部、話したんだ。
ナツを振り返ってそう言ったユカリは、もう泣き出しそうな顔はしていなかった。
声も口調も、静かだ。
シュンはさっきまでの剣幕を吐き出すように溜め息を吐いて、何も言わずに、ユカリを見ていた。