ONLOOKER Ⅳ
一階での撮影を少し見て、本当は部室での作業を再開するつもりで、二人で部室へ向かった。
シュンは通り道、二階の階段のすぐ隣にある男子トイレに寄って、ユカリは一人で部室の扉を開けた。
するとそこにはなぜか、竹田がいたのだ。
恐ろしい形相と、血走った目、荒い息遣い。
荒事には一切関わったことのない箱入りの令嬢が身の危険を感じるには、十分すぎた。
恐ろしくなって、当然、すぐに部室から逃げようとする。
しかし、恐怖に足が竦んだユカリに、竹田は掴みかかったのだ。
そこからは、必死だった。
咄嗟に、手の届く場所にあった花瓶を掴んだ。
力加減なんて少しも考えずに、振り下ろした。
たった数秒間のことだった。