ONLOOKER Ⅳ



「ナオ、部室にはいつ行ったんだ?」
「休憩時間です。トイレに行ったあと、姿見を使いたくて……ちょうど、先輩たちが降りて行くのが見えて」
「先輩たちって……シュン先輩と、ユカリ先輩? 撮影を見に降りて来た時か……」

ナオは頷いて、「……部室に行ったら、先生がいたんです」と、続ける。
竹田は、シュンとユカリが部室を出た隙に、すかさず入り込んだのだ。
撮影中の映研部は各自がバラバラに行動することが多い。
待ち伏せていれば、誰かが一人で部室に来ることも十分にあり得る。
誰でもよかったのだろう。
ナオの話で、竹田の無節操さは暴露されている。
女子生徒であるユカリやヨリコか、もしくは、男子生徒でも線の細く力の弱そうなナオを狙っていたのかもしれない。

生活指導員として映研部の夜遅くまでの部活動を取り締まる上でも、弱味を握っておきたかったに違いない。
問題児たちの時間外の部活動をやめさせることができれば、教師たちからの株は上がる。
適当な部屋に連れ込んで、服を脱がせて写真でも撮れば、思春期の少年少女にとってはそれだけで大きな弱味になる。


< 81 / 138 >

この作品をシェア

pagetop