気がつけば愛でした
「律が手を抜かないんだよ。」
突然、横から声がして静奈はビクッとする。
いつからいたのか社長が苦笑しながら立っていた。
「社長…」
「言っとくけど、俺の方は仕事減らしたぜ?後は営業課の問題だ。」
「なら社長から営業課に言ってくださいよ。」
静奈は社長室に向かう五十嵐社長を追いかけた。
エレベーターの様子からも、静奈は高柳が心配だった。
しかし、
「それはしない。」
社長はキッパリ言った。
「何でですか?」
「俺は律を良く知っている。そんなことしてもアイツは自分の仕事をやり切るよ。それに…」
「それに?」
「営業課には今ちょっと気になることがある。」
社長は声のトーンを落とした。
その様子に思わず高杉秘書と、やり取りを黙って聞いていた貴子が立ち上がる。
一気に不穏な雰囲気となった。
「気になるとは?」
高杉秘書は真剣な表情になった社長に聞き返す。