気がつけば愛でした






夕方からはうちと雨宮社長との接待がとある料亭で行われた。


まぁ、普段から親しい間柄ではあるので堅苦しいものではなかったのだが、今回の静奈にとってはそれは違った。


それはもちろん、高柳がいるからである。



「高柳さん、お酒強いですね」

「いえ。雨宮社長のお酒が美味しいからですよ」
「上手いこと言うね。」


すっかり出来上がっている社長2人に対して高柳は平然としている。

かなり強いだろう。

因みに、静奈は運転があるため飲んではいない。
雨宮社長の秘書は車の手配に出てしまった。

静奈は雨宮社長のお酌をする。



「橘さんは幾つになったっけ?」

「25になりました。」

「25かぁ。恋人いるの?」

「え!?」



突然の質問に仕事モードから一瞬、素になってしまう。

酒を飲みながらこちらを見る高柳が視界に入った


「いないですよ」



変にドキドキしながら笑顔で答える。



「こんなに可愛いのに!?じゃぁ好きな人は?」

「えぇ!?」



好きな人!?高柳が見ているのにそんなのここで言えるわけなかった。



「社長。それセクハラって言うんですよ。いけません」



戻ってきた雨宮社長の秘書が呆れたように言った


「そうなのか!?それは悪かったね、橘さん」

「いいえ。」



慌てて首を振る。


そしてまた盛り上がる社長達を残して、ソッと席を立った。



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