気がつけば愛でした


黙ってしまった部長を前に高柳は口を開いた。



「部長…、あなたは僕に気持ちを偽るなと仰いました。そう言えるのは部長が何か後悔していることがあったからじゃないですか?部長も偽らず、全てを話して下さい。」


高柳のハッキリした声に関谷部長はうなだれた。そして手を額に当てる。


「…全ては私の過ちから起こったことでした」

「過ち、とは?」



社長の穏やかな声に覚悟を決めた部長は話だした。



「1年半前のことです。私はある女性と関係を持ちました。」



部長には確か妻子が居たはずだ。娘は中学生くらいだったと思う。

しかしある女性と関係を持ったということは浮気である。


飲み屋で出会ったその女性は30代で早くに父親を亡くしていた。
だから部長に面影を見ていたと言う。その後も定期的に会うことで自然に恋愛関係になった。


しかし



「彼女のことは好きでした。ずっと一緒に居たいと思った。しかし私には家族がいる。娘もまだ中学生です。だからこれ以上、深入りは出来なかった。だから深みに入る前に別れを告げたんです」


部長の判断は賢明だと思う。

部長は家族の為に彼女と別れる決意をしたのだ。
しかしそれが今回の事件にどう繋がるというのか。


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