気がつけば愛でした
数時間前までいた所にまた来てしまった。
見覚えのある玄関でそうこっそりため息をつく。
静奈が玄関で立っていると、靴を脱いだ高柳が振り返る。
「入って。」
「え!?あ、いえ…、携帯を取りに来ただけですから…」
「いいから、入れって。」
「いえ…」
なんで中に入らなきゃらないのか。さっさと済ませたい。
そんな静奈に対して、高柳はニヤリと笑う。
「何?まさか、何かされちゃうとか思ってんの?」
「ハァ!?」
どうしたらそう思うのか。高柳の馬鹿にしたような態度に静奈はムッとした。
「そんなこと思うわけないじゃないですか!失礼します!」
静奈はムッとしたまま、靴を脱いで高柳の横を通り過ぎた。
高柳が小さく笑っているのが聞こえた。