気がつけば愛でした
朝と同じ位置に座る。もちろんソファーに、だが。高柳が座って待つよう言ったのだ。
あぁ、早く帰りたい。
落ち着かずソワソワしていると、高柳が携帯を片手に戻ってきた。
「すみません、ありがとうございました。」
立ち上がり携帯を受け取ろうとする。
しかしそれは掴む直前でヒョイと上に持ち上げられてしまった。
「えっ!?ちょっと、何するんですか?返して下さい!」
しかし静奈が高柳の手に届くわけもなく、虚しくぴょんぴょんと跳ねるだけだった。
そんな静奈を涼しい顔で見下ろしている。
「高柳さん!」
「昨日のこと、知りたくないの?」
「え?」
高柳のセリフに静奈の動きがピタッと止まる。
「昨日。アンタがどうして俺んちに来たのか。どうしてベッドで一緒に寝てたのか。本当に…」
そう言葉を一回切ったあと、とても色っぽく静奈に微笑む。
「何もなかったのか。」