気がつけば愛でした



それから、高柳と社長と静奈ら秘書の3人で外回りに行くことが増えた。

自然と高柳と居ることが増える。



「それではまたお伺い致します」



我が、五十嵐社長はにこやかに相手の社長に微笑みかける。

相手はそれに頷きながら、高柳にも手を差し伸べた。



「五十嵐さんは、優秀な部下をお持ちですね。高柳さん、是非また今度はゆっくりお話しましょう」

「ありがとうございます。楽しみにしています」


営業スマイルで手を握り返している。


静奈はそんな高柳をソッと見上げる。
ここ数日、一緒に行動し、その仕事を見ていて、実は内心、驚いていた。
さすが営業のエースと言われるだけあると思った。その営業トークに表情、雰囲気までもが、少しも崩れることなく、徹底していた。そして上手く相手の心に入り込む。


会話のテンポもいい。頭の回転が早い人だと感じた。


社長が側に置きたくなるのが少しわかった気がする。



「社長、会社に戻られますか?」



静奈は運転しながら後ろの社長に聞いた。



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