気がつけば愛でした


昼休み。


何時もより少し遅めに食堂に入ったためか、人が比較的、少なかった。

静奈は食券を買って、出てくるのを待っていた。
すると後ろから肩を叩かれる。



「静奈ちゃんだ。」

「あ…上村さん…」



そこには笑顔の上村が立っていた。上村もこれから食事なのだろう。



「ご飯一緒しようぜ」



相変わらずの強引さで、静奈の後をついてくる。
あからさまに断るわけにもいかず、仕方なく向かい合わせで座った。



「静奈ちゃんって、高柳と付き合ってんの?」



場所をはばからず、大きい声ではっきり聞いてきた。食事にいた女子社員達が鋭い目で見てくるのがわかる。



「ちょっと、上村さん!声大きいです!」

「え?何で?違うの?」
「違…います…」



自分で言ったセリフに胸がチリッとする。



「マジで?なら俺と付き合おうよ~」

「お断りします」



そこは間髪入れずにハッキリと断った。



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