気がつけば愛でした
「えっ!?高柳さん、食堂に居ました?」
「いや?外回りから帰って来たとこだけど。」
食堂は一階フロアの奥にある。しかし良く見ると高柳は鞄を持っていた。
「お疲れ様です。食事しました?」
「ん?あ~、まぁな。」
曖昧に返事をする。忙しかったのだろうか。ちゃんと食べていないのかも知れない。
「あの…ちゃんと食事して下さいね?」
やってきたエレベーターに2人で乗り込み、高柳を見上げて言った。
「あぁ、まぁ、大丈夫だよ」
素っ気ない返しにちょっと不安になる。
最近、近くにいることが多いせいか、声で何となくわかってしまう。
疲れているって。
「あの、本当に…」
「何?心配してくれてんの?」
振り返った高柳は意地悪い極上の笑顔で静奈を見た。
「嫌いな俺の心配をするようになったとはね。」
「えっ!?」
“嫌い”を強調して笑う高柳に静奈は慌てた。
「違います!そうじゃなくて…!」
「大丈夫だよ。」
高柳はニッコリ笑った。
「体力はあるし、心配ない。じゃぁな。」
そう笑って、営業課の階で降りていった。