身代わり王女に花嫁教育、始めます!
リーンが母のことに心を囚われていたとき、カリムは夢のような言葉を口にした。


「“砂漠の舟”がようやくみつかった。今宵、私とともに“砂漠の舟”に乗り、あなたをオアシスに案内しよう」


カリムのひと言にリーンの胸は浮き立った。




夜陰を縫う一筋の月光――それは、カリムが腰に帯びたシャムシールの刃のような細い月から降り注ぐ。

その夜、数人の兵士たちがかしずく中、リーンはカリムに手を取られ、砂の上を歩いた。

辺りに広がるのは衣擦れの音のみ。足音は砂に吸い込まれ、リーンは砂上を滑るような錯覚に囚われた。


「あそこに座っているのが“砂漠の舟”だ」


カリムが顎で示した先には一頭のラクダがいた。


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