身代わり王女に花嫁教育、始めます!
リーンはホッとしたように頬の緊張を緩める。そしてブラウンの瞳をオアシスのほうに向け、


「ああ、本物のオアシスが見られるなんて……」


夜目にも頬を紅潮させて呟く。


「それほどまでにオアシスに焦がれていたとは。その侍女はあなたにとって、よほど重要な方であるようだ」

「それは……それは、あの」

「それから、オアシスは見るだけではない」

「見る以外に何を? 飲む……とかですか?」


リーンの予想外の答えに、カリムは笑った。


「もちろん、飲んでも構わない。だが一番の楽しみ方は――泳ぐのだ」

「お、お待ちください、カリムどのっ!? わたしは……わたくしは泳げません。そんな、オアシスは大切な水源と聞いております。そのような中に体を浸すなど……」


なぜか、リーンを見ていると無性に困らせたくなる。


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