身代わり王女に花嫁教育、始めます!
リーンの問いにサクルは小さく首を振り、


「宮殿をぐるりと囲むように流砂がある。踏み入れば、人も馬もたちまち身動きが取れなくなるだろう」


流砂の話はリーンも聞いたことがある。底なし沼と同じ原理だという。飲み込まれてしまうことはないが、自ら脱出は不可能な場所。

実際に、目にしたのは初めてだった。


「精霊の力を借り、ほんの少し水を加えて比重を変えれば……数千人を飲み込むこともできる」


それは、サクルを怒らせたら簡単に数千人の命が奪われるということだ。

金色の瞳を見上げ、リーンは身震いを抑えることができなかった。


「私が怖いか?」

「それは……」

「どれほど怯えても、私はお前を手放さんぞ」


強気な言葉とは逆に、サクルの瞳に迷いが浮かぶ。いや、迷いというより恐怖。

それを感じたとき、リーンはサクルの頬に手を触れた。


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