身代わり王女に花嫁教育、始めます!
とっさに涸れ谷でのやり取りが思い出され、リーンは“陛下”と呼んだ。
「それでよい。カリム・アリー、それとマルヤム、ついて参れ。ほかの者は仕事に戻ることを許す」
サクルは宮殿を通り抜け、中庭へと進む。
そこには壁がなく、四本の支柱でのみ屋根が支えられた建物があった。周囲には椰子を中心に国境近くの町でも見かけた低木が生えている。
緑の葉を掻き分けていくと、巨大な浴槽が姿を現した。
正面には悠久の刻(とき)を写し取ったかのような砂漠が見える。
「なんてきれい……」
朝焼けの光が砂漠を照らし、同時に、浴槽に張られた水面にもきらきらと反射していた。
「リーン、本来であれば婚礼のあとに床入りの儀式を行い、結婚の儀式は終了する。だが、私はこれ以上待てん。先に、我が妻とするぞ。よいな」
「それは、王命でしょうか? それならばわたしに逆らうことなどできません。ただ、ひとつだけお聞かせください。大公さまはわたしに王女の称号をお与えになったのですね。それは、陛下のご命令で? それとも……」
「それでよい。カリム・アリー、それとマルヤム、ついて参れ。ほかの者は仕事に戻ることを許す」
サクルは宮殿を通り抜け、中庭へと進む。
そこには壁がなく、四本の支柱でのみ屋根が支えられた建物があった。周囲には椰子を中心に国境近くの町でも見かけた低木が生えている。
緑の葉を掻き分けていくと、巨大な浴槽が姿を現した。
正面には悠久の刻(とき)を写し取ったかのような砂漠が見える。
「なんてきれい……」
朝焼けの光が砂漠を照らし、同時に、浴槽に張られた水面にもきらきらと反射していた。
「リーン、本来であれば婚礼のあとに床入りの儀式を行い、結婚の儀式は終了する。だが、私はこれ以上待てん。先に、我が妻とするぞ。よいな」
「それは、王命でしょうか? それならばわたしに逆らうことなどできません。ただ、ひとつだけお聞かせください。大公さまはわたしに王女の称号をお与えになったのですね。それは、陛下のご命令で? それとも……」