銀棺の一角獣
「ルドヴィクも、ありがとう」


 礼の言葉に、ルドヴィクは無言のまま頭を下げる。城を出る時は輝いていた彼の金髪も、今は輝きを失っている――アルティナの銀の髪と同様に。束ねている飾り紐も、元の色がわからないほどだった。

 騎士たちの官舎へと戻っていくルドヴィクの背中を見送って、アルティナはデインへと向き直る。


「行きましょう。やらなければならないことがたくさんあるの」


 久しぶりに入った自分の部屋の空気は、アルティナにとって懐かしいものだった。けれど、同時にわかってしまう。

 この部屋を出た時とは、変わってしまった。


「こんなお姿になってしまって――お連れくださればよかったのに」


 アルティナの一番身近に仕えていた侍女のグリアは、汚れたアルティナの姿に目に涙を滲ませた。
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