銀棺の一角獣
 苦虫を噛み潰した表情のままのデインが部屋を出ていくと、アルティナは窓に近づいた。

 ガラスに窓を押しつける。ひんやりとした感触が頭を冷やしてくれるようだった。

 庭園を見渡せば、向こう側に四阿が見える。そこに白い影が立っているのも見えた。


「ここまで戻ってきたんだもの……これから先何があっても大丈夫」

 アルティナは自分に言い聞かせる。

 やっと戻ってきた王城を再び出るのは、怖かった。今度は無事に戻れる保障なんてない。

 自分の身を守ることさえ十分にはできないだろうというのに――けれど、これ以上誰も巻き込むわけにはいかない。けれど、ティレルと一緒なら――たぶん、どうにかなるだろう。

 とにかく、今夜はよく休むことだ。明日、キーランが神殿に入るのを見届けたらその足で出立する。

 ティレルに新鮮な果物を山ほど差し入れるように改めて命令して、アルティナは眠りについた。

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