銀棺の一角獣
「アルティナ、もうおいき――君にはやらなければならないことがある」

「いいえ」


 アルティナは首を横に振った。


「今晩は……ここにいさせて……お願いだから」


 自分にできることはそう多くないとアルティナは知っていた。冷たい水を運んできて布を濡らし、それを彼の額に置いてやる。


「明日の儀式はどうすればいいのかな」

「……今は、そのことは考えないで」


 アルティナは、手を伸ばして彼の瞼を塞いだ。


「明日のことは、明日になってから考えましょう?」


 都に戻ってきた今、ルドヴィクとのつながりは切るべきだ。これからは、婚約者だけを見つめていく。

 キーランは再び眠りに落ちている。アルティナはその髪を何度も撫でた。

 
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