銀棺の一角獣
決戦までの時を
 もう、残された時間は少ない。守りをかため、こうして都を守り続けてきたけれど。

 たくわえの食料も残りわずかになり、医薬品も、武器も、これまでの攻防戦でほぼ消耗しきっていた。


「ライオールがディレイニー軍に合流したようだな」


 城壁の上から、ティレルが敵軍を眺めている。アルティナは、喪服ではないけれど黒を基調にした服に身を包んで彼に従っていた。戦時ではあるから、過度に美しく装ったりはしない。

 それはティレルが言ったように華やかに装った時に――兵士たちの目にいっそう艶やかに見えるようにという計算でもあった。

 そのすぐ横にはルドヴィクがいて、アルティナの身に危険が迫ればすぐに動けるように待ちかまえている。

 アルティナは、目を細めた。


「キーラン様のお父上が合流したって――あなたにはわかるの?」
< 250 / 381 >

この作品をシェア

pagetop