銀棺の一角獣
 けれど、キーランとジャファールの違いはほとんどなかった。ジャファールの方は首から何本もの金の首飾りを下げていることだけ。


「ジャファール……どういう……つもりなの? なぜ、キーラン様が……」


 ジャファールは一礼した。


「わたくしの権限で、キーラン様を我が神殿にお迎えいたしました。陛下。身につけた装束は本来平神官には許されないものですが、今日、この日に限っては必要であるとわたくしが特別に許可をいたしました」

「許可って……」


 アルティナはそれきり黙り込んでしまった。若い神官の肩を借りながら、キーランは微笑む。


「僕も城壁まで行くよ。見せる必要があるんだ――」


 父である国王に見せなければならない。敵国の神官の装束に身を包んだ、器となる肉体を持つ息子を。
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