銀棺の一角獣
婚約の話を
 キーランの使いは、彼からの伝言を持ってきていた。アルティナにすぐに自分の部屋まで来てほしいのだという。

 アルティナは会談に使った広間を出ると、キーランが横になってる部屋へと向かう。


「……ごめん、忙しかった?」


 アルティナの姿を見ると、キーランはベッドに起きあがった。キーランの世話をするために部屋に控えている侍女が、彼の背中にたくさんのクッションをあてる。


「いえ……とりあえずの方向性は決まりましたから」


 アルティナは、キーランの側に椅子を運ばせ、そこに座る。


「ルドヴィクは?」

「ルドヴィク、ですか……? 彼なら廊下にいますけれど……何かご用でしょうか?」

「いや、いいんだ」


 キーランはかぶりをふって、アルティナの手を取る。
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