銀棺の一角獣
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 ルドヴィクとそのほか二人の騎士に守られてアルティナは自室へと戻った。


「おやすみなさいませ」


 と口々に挨拶して騎士たちはアルティナの前を去る。部屋の前には護衛の兵士が二名残っていた。

 部屋の外を見れば、ティレルが四阿でくつろいでいるのが見える。アルティナがテラスから手を振ると、ティレルも頭をひょいと動かした。

 微笑みかけておいて、アルティナは部屋の中へと戻る。疲労感がのしかかってきているのに、目は覚めてしまって眠れそうもない。


「どうしたらいいのかしら」


 アルティナは、椅子の上に腰を落とした。そのまま膝を抱え込んで、その間に頭を埋める。行儀悪い格好なのはわかっているが、この部屋には誰もいないのだから問題ない。
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