銀棺の一角獣
「……そういうわけにもいかないでしょう?」


 今はまだ、無理だ。

 先にやらなければならないことが山ほどある。


「ルドヴィクに土産物を持たせなければね……山の村では何が必要とされているのかしら……」


 まず報奨金を持たせるのは当然だ。それから服を作るための布、家畜である牛。アルティナがすぐに思いつくのはこのくらいだけれど――狭い村では牛はむしろ邪魔になるだろうか。

「これもデインに相談すればいいかしら」


 アルティナは身をかがめて、ティレルの額に口づける。


「わたしも行くわ。……ティレル。いろいろありがとう」

「たいしたことはしていない」

「そう? あなたがいてくれなかったら、何もできなかったわ」


 アルティナは、ティレルにそう言うと自分も庭を後にした。


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