銀棺の一角獣
「……アルティナ」


 ためらいがちにキーランが彼女の名を呼んだ。


「……何でしょう、キーラン様?」


 こわばった顔を動かして、何とか笑みを作った。


「父が、申し訳ないことをした」


 まさか、キーランに謝られるとは思わなくて、アルティナは目を見張る。


「……なぜ、あなたが謝るのですか?」

「父は悪いことをしたとは思っていないから――あなたから自由を奪っただけではなくて、あなたの国の守り神まで取り上げようとしている」


 アルティナは目を伏せた。

 一角獣をおさめた銀の棺は、王宮の中庭にとどめおかれている。大きすぎて広間の扉からは入らないから――今広間の窓から入れられるように調整しているところだという。


「……守り神などではありませんわ」


 アルティナは扇の陰に口元を隠した。
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