銀棺の一角獣
 国を出る時も、家臣たちに言ったのだ。棺の中にいるのが守り神ならば、父も兄も死ぬことはなかったのに、と。

 アルティナが棺を外に出すように命じた時、何も起こらなかった。きっと天罰があたると思ったのにそれさえなかった。

 必要ない。守ってくれない守り神など――


「どうぞ、お気になさらないでください。キーラン様」


 キーランは父親に逆らうことなどできないだろう。二人並んでいるところを見ても、キーランはライオールよりはるかに線が細くて――今でも押さえつけられているであろうことは容易に想像できる。


「城の奥に安置されていた棺を持ち出すよう命じたのはわたしです。あなたとの婚約を受け入れたのもわたしです――自由を奪われたなどとは思っていません」


 目の前の気の弱そうな青年に、思っていることを全て口にすることはできなかった。
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