銀棺の一角獣
 アルティナに椅子を勧めることなく、ライオールは机の前に立つアルティナを見つめた。立っているアルティナの方が彼を見下ろすことになる。


「……キーラン様からお聞きかもしれませんが、先日わたしのもとへ国から――神殿から使いがまいりました」


 ライオールの眉がひょいと上がった。今日の彼はそれほど恐ろしいとは感じられなかった。

 アルティナはこの先どう続けようかと考えた。一角獣が彼の神殿にいるということまでは話をしない方がいいだろう。


「それで?」


 黙り込んでしまったアルティナをライオールがうながす。


「先日お話しした時、わたしは何も知らないと申し上げたのを覚えておいでですか?」


 先日の広間の悪夢がアルティナの脳裏によみがえる。血にまみれた騎士たちと、剣を抜いたライオールの恐ろしい顔。

 頭がくらくらとするのを押さえ込んで、アルティナはライオールを見返した。アルティナの言葉を裏付けるように、ライオールは首を縦に振ってみせた。


「一角獣に関する伝承は、王位を継いだ者にしか伝えられないのだそうです。ですから、わたしは何も知らなかった……」
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