銀棺の一角獣
「……なるほど」

「ですが、国元からやってきた神官はわたしに言ったのです。わたしが女王として即位した今、伝承を受け継ぐのはわたしになると」


 ふむ、とライオールは頷いた。


「つまり城に滞在中の神官に話を聞けば、一角獣についての情報が手に入るのだな?」

「……それならよろしいのですけれど」


 笑っているように見えるだろうか。アルティナは首をかたむけて、唇に緩やかな弧を描かせる。


「彼は何もお話しないでしょう」

「なぜ?」

「申し上げましたように、一角獣に関する伝承は王位を継いだ者にしか与えられないのです。彼は使いとして来ただけで何も知りませんから、おたずねになったところで、お話しすることはできないでしょう」


 ライオールは乾いた笑い声を上げた。


「では、国元から全てを知る神官とやらを呼び寄せようか?」

「……彼もお話しすることはないと思います」


 アルティナはかぶりを振る。その様子にライオールは不愉快そうに顔をしかめた。


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