百鬼夜行の主

その日の昼―

「暑いです~…」

雪羅が町中を歩きながら言う。雪女だからか暑さには弱いらしく、今にも死にそうな顔をしている。


「すまないな。買い物に付き合ってくれて」


私はメモを見ながら夕食の食材を確認した。自分で昼食を作った後、冷蔵庫の中身が空だったのに気付いた私は、昼食を一緒に食べていた雪羅とともにスーパーに向かうことにした。

私は日焼け防止のためにパーカーにGパンを着て日焼け止めもばっちり塗っているが、雪羅は日焼け止めも塗らずにノースリーブのワンピース一枚で歩いている。


妖怪は日焼けはしないと本人に聞いたことがあるが、正直羨ましいと感じた。


「えっと…次の信号渡ればすぐだから頑張って」


「分かりました~…」


雪羅がぐったりとしながら言う。それでも持ち前の顔の良さは崩れないから私は少しむっとして歩いた。

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