百鬼夜行の主
「えっと…今日のメニューは…」
私は玉ねぎを両手に持ち、じっくり見ながら呟く。暑さで死にかけていた雪羅だったがスーパーに入ってや否や水を得た魚のように復活していた。
「幽ちゃん、今日のメニューはオムライスなんですよね?ミックスベジタブルはいりますか?」
雪羅がミックスベジタブルを買い物かごに入れる。
「いらない。ニンジン入ってるし甘いのヤダ」
私はミックスベジタブルを雪羅の手に乗せ、再び食材を見始めた。
「子供みたいなこと言っちゃだめなんです!それじゃ女の子らしくなれませんよ!?」
雪羅の言葉を背に、私は買い物かごに食材を入れていく。
―女の子らしいか
鬼灯もやっぱり女の子らしい仔が好きなのかな…
私はその場で考え込む。女の子らしい…美少女でふわふわのワンピースとか白い服とかが似合っておしとやかで笑顔が可愛くって胸があってやっぱり美人で…
「幽ちゃん。どうしましたか?」
私は我に返った。瞬間、一気に顔が沸騰する。
「何でもない!あ、鶏肉入れてなかった。とってくるね!」
私は逃げるようにしてその場から離れる。
…今、鬼灯のこと考えてた?
私は再び始まった動悸が治まることを願い、早足で歩いていった。