百鬼夜行の主
―その夜
雪羅と夕食を共にしていた私に向かって雪羅が言いきる。
「主様、それは恋なのです!!」
私は持っていたスプーンを危うく落としそうになりながら、向かい合わせでオムライスを食べている雪羅に「意味が分からない」と言わんばかりに首をかしげた。
コイって…魚?それとも色とかキャラとかの濃い?
「そうではなく!主様は鬼灯に恋…つまり恋愛感情を持っているんです!!」
…What?
私が鬼灯に恋愛感情だと?私が…鬼灯を男として見ているということか?
「いやいやいや!!ありえないだろ。大体あいつは妖怪で、私は半分人間だ。まずそこで釣り合わない。だが凄い奴なのは認める。顔もよくって性格も真面目で冷静。若干初心だがそこは愛嬌としてもいい奴だ。そうだな…時々は頭撫でてやりたい。あいつは私に振り回されてばかりだからたまにはこっちが振り回されてもいいかもしれないな…」
「頭撫でてあげたいとか、そういうのって完全に恋していますよ?」
…私は自問自答してみる。
まさか…鬼灯が他の女妖怪と話しているとイライラしたり寂しくなったり、それが原因で眠れなかったりするのって…-恋してるからなのか?
「うぅぅ…」
まさかとは思った。自分がやきもちを妬いていたなどあり得ないと考えていたが…確かによく考えてみればつじつまが合っている。
「主様も半分は妖怪ですし、釣りあいますよ。ですから…」
雪羅が携帯を取り出し、メールを書き始めた。