ビター・スイート・ラヴ
「あっ、うん。いらないわ。実はあなたに報告しておきたいことがあるの。
ここ数週間ずっと体調が優れないから昨日、病院へ行ってみたの。そうした
らね、おめでたです、って先生から告げられて、妊娠三ヶ月です、って。
 間違えないですか?、って先生に何度も聞き返しちゃった‥。私も思い当
たる節もあったからそのまま帰ってきたけど」




 あさみは病院へ行って検査したことを浩輔に告げた。




「えっ、それ本当なのか? 参ったな‥。それで、あさみはどうするつもり
なんだ?」




 浩輔は狼狽しきった表情で、あさみの顔をじっと見ていた。




「もちろん私は産むつもりよ。折角、授かった命だもの。大丈夫よ、あなた
には迷惑かけるつもりはないから」




 あさみはやや青ざめた顔で、能面のように表情を変えずに言い放った。




「そういう訳にはいかないだろう‥。君のご両親だって、それを知ったら
黙ってないだろうし。それに会社にはどう話すつもりなんだ?弱ったなあ
今回は子供を諦めてもらえないか?」




 浩輔はすがり付くような目であさみの横顔をじっと見つめた。
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