ビター・スイート・ラヴ
 仕事も順調でかなり浮かれてた時だ。しまった、俺としたことが迂闊だっ
た‥。浩輔は小さく何度も舌打ちをした。



 浩輔はようやく冷静さを取り戻し、あさみのことが気になって寝室に行っ
てみた。部屋は鍵が掛けられ物音ひとつ聞こえてこなかった。



「あさみ、怒鳴ったりして済まなかった。機嫌なおしてくれよ。頼むから、
開けてくれないか」



 中から何も聞こえてこなかった。泣きつかれて眠ってしまったのか?



 もう一度、あさみに声を掛けてみた。やはり何の応答もない。



 仕方なく置き手紙をして浩輔はマンションを出ていった。




 浩輔は帰る道すがら、これからどうすればいいのか考えてみた。しかし、
いまひとつ良い考えが浮かんでこない。



 いずれ由香にもばれてしまうことだけど、まだはっきりと口に出して
告げる度胸もなかった。
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