シャクジの森で〜青龍の涙〜
ウォルターも辛いのだ。
「エミリーすまない。私のせいなんだ、私の――――彼は、私の身代わりになって、谷に落ちたんだ」
谷に落ちるのは、この私だったんだ!
レオナルドは悔しげにそう言って、怒りをぶつけるように、近くにあった木の幹を殴った。
ざざざと音を立てて揺れ、枝葉がぱらぱらと舞い落ちてレオナルドの体に付いた。
それを払うことなくそのまま俯いて、肩を震わせている。
エミリーは背中に着いている葉を払い、静かに語りかけた。
「レオナルドさん、違うわ。レオナルドさんのせいではないの。ここにいる誰のせいでもないわ。悪いのは、攻撃してきた賊なのです。皆さん、とても疲れていると思います。だから、これを持ってきました。どうぞ皆さんで食べてください」
中身は、午前中に急いで仕込んだ“レモンのはちみつ漬け”。
メイたちに頼んで用意してもらった材料、レモンを薄くスライスしてはちみつに漬けたものだ。
さっぱりと口当たり良く食欲がなくても食べられる。
漬ける時間が短かったけれど、効能はそれほど変わらない筈だ。
「どうぞ」
包みを開けて差し出すと、ウォルターとレオナルドの目が何度も瞬きを繰り返す。
「これは、まさか・・・エミリー様の手作りですか・・・」
「えっと、見た目は、イマイチかもしれないけれど。これは、疲れがとれるの。ウォルターさん、あなたが一番たくさん食べないといけないわ。そして、頑張って一刻も早くアラン様を見つけてください」
「ありがとうございます。では、いただきます!」
一つを口にほおり込んだウォルターはその美味しさに目を丸くすると、レオナルドにも薦め、エミリーの手から箱を受け取るとテントの方へ持っていった。
向こうで、兵士たちが箱に群がっているのが見える。
「パトリック、ちょっといいか?エミリー、すまないが、ここにいてくれ」
「エミリー、動かず待ってるんだ。いいね?」
「・・・はい」
レオナルドとパトリックは、少し離れた場所にいき、何事かを話し始めた。
難しい顔付き。恐らくこれからの予定を話し合っているのだろう。
エミリーはそちらの様子を気にしつつ、そっとその場から離れた。
さっき確認した方、木立の向こう側を目指す。
どうしても、祈りを捧げたい。その一心だった。
木立を小走りに抜けていくと、そこには、古びているけれど夢で見たのと同じ建物があった。
猫が寝そべっていた石段も怖い女の人が出てきた玄関も、そっくりそのままだ。
太い柱に触れ、思わず名を呟く。
「リシェールさん・・・」
すると。
ふ・・・と、視界が歪んだ。
「エミリーすまない。私のせいなんだ、私の――――彼は、私の身代わりになって、谷に落ちたんだ」
谷に落ちるのは、この私だったんだ!
レオナルドは悔しげにそう言って、怒りをぶつけるように、近くにあった木の幹を殴った。
ざざざと音を立てて揺れ、枝葉がぱらぱらと舞い落ちてレオナルドの体に付いた。
それを払うことなくそのまま俯いて、肩を震わせている。
エミリーは背中に着いている葉を払い、静かに語りかけた。
「レオナルドさん、違うわ。レオナルドさんのせいではないの。ここにいる誰のせいでもないわ。悪いのは、攻撃してきた賊なのです。皆さん、とても疲れていると思います。だから、これを持ってきました。どうぞ皆さんで食べてください」
中身は、午前中に急いで仕込んだ“レモンのはちみつ漬け”。
メイたちに頼んで用意してもらった材料、レモンを薄くスライスしてはちみつに漬けたものだ。
さっぱりと口当たり良く食欲がなくても食べられる。
漬ける時間が短かったけれど、効能はそれほど変わらない筈だ。
「どうぞ」
包みを開けて差し出すと、ウォルターとレオナルドの目が何度も瞬きを繰り返す。
「これは、まさか・・・エミリー様の手作りですか・・・」
「えっと、見た目は、イマイチかもしれないけれど。これは、疲れがとれるの。ウォルターさん、あなたが一番たくさん食べないといけないわ。そして、頑張って一刻も早くアラン様を見つけてください」
「ありがとうございます。では、いただきます!」
一つを口にほおり込んだウォルターはその美味しさに目を丸くすると、レオナルドにも薦め、エミリーの手から箱を受け取るとテントの方へ持っていった。
向こうで、兵士たちが箱に群がっているのが見える。
「パトリック、ちょっといいか?エミリー、すまないが、ここにいてくれ」
「エミリー、動かず待ってるんだ。いいね?」
「・・・はい」
レオナルドとパトリックは、少し離れた場所にいき、何事かを話し始めた。
難しい顔付き。恐らくこれからの予定を話し合っているのだろう。
エミリーはそちらの様子を気にしつつ、そっとその場から離れた。
さっき確認した方、木立の向こう側を目指す。
どうしても、祈りを捧げたい。その一心だった。
木立を小走りに抜けていくと、そこには、古びているけれど夢で見たのと同じ建物があった。
猫が寝そべっていた石段も怖い女の人が出てきた玄関も、そっくりそのままだ。
太い柱に触れ、思わず名を呟く。
「リシェールさん・・・」
すると。
ふ・・・と、視界が歪んだ。