シャクジの森で〜青龍の涙〜
「ぁ・・アラン様?えっと・・どうかしたのですか?」
おずおずと訊ねれば、瞳はますます細まる。
「・・・朝目覚めてより、我が妃の可愛い寝顔を眺めておったのだが・・・」
「・・はい?寝顔・・が?」
「違うぞ、問題は寝顔ではない。君は今―――・・」
「ぇ・・今?」
きょとんとした様子で問い返すエミリー。
その表情を見るにつけ、アランの心中でいろんな想いが混じりあって複雑になり、ふと堪らず可笑しくなってしまった。
「あぁ―――いや、良い。私もどうかしておる・・・すまぬ」
「ぇ?アラン様、いったいなん・・んっん・・ん」
エミリーの疑問は、言葉に出す前にアランの唇に吸い込まれてしまった。
結局何が何だかわからないままに甘く熱いキスを受けてしまい、意識は蕩け、疑問はすっかりうやむやにされる。
リップ音をたてて離れていくアランの唇はとても艶やかで、見下ろすブルーの瞳はさっきまでとは違って穏やかながらも甘い熱を持っていた。
何故だかさっぱりだけれども、とりあえずご機嫌は直ったよう。
絡められていた大きな手が離れ手指が自由なことに気づいたエミリーは、手を伸ばして、さらさらの銀糸をそっと指に絡めた。
「エミリー、今少し傍におりたいが、そうもいかぬ。いつも通り迎えにくるゆえ・・・良いな?・・・起きられるか?」
「・・・はい」
武骨な大きな手が薔薇色に染まった頬をそっと撫でる。
そのあたたかい心地よさにぽやぽやしているエミリーの額に唇を落とし、アランはするりとベッドから抜けた。
ガウンを羽織り、すぐに部屋から出ていく。
これから自室に行き、身支度を整えるのだ。
それと入れ替わるように、メイとナミが入ってくる。
二人はいつも通り、甘い空気を破るよう、元気な明るい声を出した。
「おはようございます。エミリー様、失礼致します。しっかりと起きてらっしゃいますか?」
「えぇ・・起きてるわ・・・」
メイがエミリーの返事を聞いて天蓋のカーテンを開けば、ナミも窓際に行って分厚いカーテンに手を掛ける。
「おはようございます!エミリー様、今日もいい天気ですよ!カーテン開けますね!」
シャッと小気味いい音がし、部屋の中に眩い光が差し込む。
窓の外は青い空に白い雲。
今日も本当にいい天気だ。
「おはよう。メイ、ナミ。ほんとう、いい日ね」
ベッドから起き上がった身体にすかさずガウンが掛けられる。
「さ、エミリー様。今日はどのドレスになさいますか?」
「そうね、たまにはこの―――」
こうして、ほぼいつも通りに、エミリーの一日が始まった。
おずおずと訊ねれば、瞳はますます細まる。
「・・・朝目覚めてより、我が妃の可愛い寝顔を眺めておったのだが・・・」
「・・はい?寝顔・・が?」
「違うぞ、問題は寝顔ではない。君は今―――・・」
「ぇ・・今?」
きょとんとした様子で問い返すエミリー。
その表情を見るにつけ、アランの心中でいろんな想いが混じりあって複雑になり、ふと堪らず可笑しくなってしまった。
「あぁ―――いや、良い。私もどうかしておる・・・すまぬ」
「ぇ?アラン様、いったいなん・・んっん・・ん」
エミリーの疑問は、言葉に出す前にアランの唇に吸い込まれてしまった。
結局何が何だかわからないままに甘く熱いキスを受けてしまい、意識は蕩け、疑問はすっかりうやむやにされる。
リップ音をたてて離れていくアランの唇はとても艶やかで、見下ろすブルーの瞳はさっきまでとは違って穏やかながらも甘い熱を持っていた。
何故だかさっぱりだけれども、とりあえずご機嫌は直ったよう。
絡められていた大きな手が離れ手指が自由なことに気づいたエミリーは、手を伸ばして、さらさらの銀糸をそっと指に絡めた。
「エミリー、今少し傍におりたいが、そうもいかぬ。いつも通り迎えにくるゆえ・・・良いな?・・・起きられるか?」
「・・・はい」
武骨な大きな手が薔薇色に染まった頬をそっと撫でる。
そのあたたかい心地よさにぽやぽやしているエミリーの額に唇を落とし、アランはするりとベッドから抜けた。
ガウンを羽織り、すぐに部屋から出ていく。
これから自室に行き、身支度を整えるのだ。
それと入れ替わるように、メイとナミが入ってくる。
二人はいつも通り、甘い空気を破るよう、元気な明るい声を出した。
「おはようございます。エミリー様、失礼致します。しっかりと起きてらっしゃいますか?」
「えぇ・・起きてるわ・・・」
メイがエミリーの返事を聞いて天蓋のカーテンを開けば、ナミも窓際に行って分厚いカーテンに手を掛ける。
「おはようございます!エミリー様、今日もいい天気ですよ!カーテン開けますね!」
シャッと小気味いい音がし、部屋の中に眩い光が差し込む。
窓の外は青い空に白い雲。
今日も本当にいい天気だ。
「おはよう。メイ、ナミ。ほんとう、いい日ね」
ベッドから起き上がった身体にすかさずガウンが掛けられる。
「さ、エミリー様。今日はどのドレスになさいますか?」
「そうね、たまにはこの―――」
こうして、ほぼいつも通りに、エミリーの一日が始まった。