Wild Rock


 森の中を歩いている時、その道に似つかわしくない少女が倒れていた。

 夜盗や盗賊に囚われていたのだろうか?

 四人の内、三人は警戒したが、内一人は違う行動をとった。

 女が困っていたりしようものなら、直ぐさま駆け寄って口説こうとするのだから。

 フェンリルは手の甲で軽く頬を叩きながら声をかけると、少女は小さなうめき声をあげた。

 瞬きを繰り返し、つぶらな瞳をフェンリルに向ける。

「大丈夫か?」

「いや~っ! セクハラですわ~っ!」

 せっかく助けたというのに、目を合わせただけでセクハラと叫ばれ、フェンリルは思い切り頬を叩かれ突き飛ばされた。

 威力が強かったのか、ルーシュのほうまで吹き飛び、ルーシュはその下敷きになった。

「ぐふぉ! 何すんだよセクハラウルフ!」

「誰がセクハラだ! 被害者俺じゃねーか!」

 また二人の言い争いが始まり、マリアは腰に手を当てながらため息をついた。

 
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