Wild Rock


 いつオーナーが来てもおかしくない。

 けど沸き上がる気持ちを抑えることはできなかった。

 奥にあるソファの上で、溶けそうなほどの声で鳴くアニエスに、俺は我慢ができなかった。


 このまま時間が止まればいい、な~んて、思っちまったくらいだからな。

 そんなバカなこと思うくらい、俺はお前に溺れていた。

 どれだけキスをすれば、俺にその笑顔をくれる?

 どれだけ貫けば、心を手にできる?

 "愛してる" なんて、言えるわけねぇし。

 だって、簡単に言える言葉は、安っぽくなるじゃねぇか。




 俺達は小さなワンルームの部屋を借り、一緒に暮らすことにした。

 魔族と人間の間に産まれた者同士、悲しみも苦しみも分け合える。


 想いも全て…


 小さな町だけど、異端な俺達をすんなり受け入れてくれた。

 オーナーが一声かけてくれたようで…。


 
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