Wild Rock


 噂好きのおばちゃんに冷やかされ、仕事場でもおっさん連中に冷やかされ…。

 いや、いいんだけどよ。

 幸せだから。

 でも、禁忌の子に幸せなんて言葉は、長くは続くわきゃなかったんだ…。


「ただ今~。言われたモン買ってきたぞ~! ここになかったもんだったから、隣町まで行くハメになったんだからな~」

 俺はグチグチ文句言いながら、短い廊下を歩く。

 アニエスのご褒美を貰うために。

 名前を呼びながら、リビングのドアを開ける。


 ドサッ


 散らかった部屋。

 大量の血が、壁にこびりついていた。

 床には、裸のまま無惨に腹を裂かれたアニエスが横たわっていた。


 な…何なんだよ、これ…?


「アニエス! おい! 誰が…こんな…っ!」

 荷物を蹴飛ばし、血まみれのアニエスを抱き上げた。


 冷たい。


 目からは涙を流した後があり、痛々しく殴られた痣もあった。

「アニエス…うぅ…俺を…一人に、しないでくれ…アニエス…」

 俺はアニエスの胸に顔をうずくめ、声を上げて泣いた。




 
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