Wild Rock
フィナンシェのオシオキ


 日も沈みかけたころ。ようやく次の街が見えてきた。

 街の明かりが明々と照らされ、パレードのような賑やかな音も聞こえてくる。

 どうやら盛大なフェスティバルが行われているようだ。

 街の入口に入ると、巨大なピエロにパンフレットを渡され、四人はどれどれと言いながら見る。



<フィナンシェフェスティバル!
 オルレアンの聖女の聖誕祭を祝い、街をあげての盛大なお祭りです!
 皆様どうぞお楽しみください!>


 その言葉を読み、三人はマリアの顔を覗き込んだ。

「聞いたことないぞ。ユリシーズの誕生日なんぞ」

 呆れた顔をしながらパンフをファブニルに渡した。

「知らないって、あなた教えられてないの?」

「考えてもみろ。ユリシーズの親は聖戦争以前に死んでるんだぞ。孤児院で育った娘に、正確な誕生日がわかるわけないだろうが」

 
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