Wild Rock


 バン!

「な…何で…」

 拳を本に叩き付けた。何度も何度も。
 信じられなかったから…。

「何で魔族なんかと契約なんかしたんだ!!」

 姉さんの胸にあった痣。あれは魔族との契約の証。
 羽の刻印はサタナキアの契約印だ。

 サタナキアは、女性を操る地獄の将軍といわれている悪魔。

 でもそれがなぜ姉さんに…?


 悪魔や魔族といった類の言葉に、感心も持たなかった姉さんが、なぜ契約印をもつハメに?

 アタシは興味本位が少しだけ専門分野に入りかけた知識しかないけど、術式的なことまではやったことがないけど…。

 でも、謎を解く鍵はあそこしかない!

 王都、マドリードの医学研修所へ行くしかない。


 その誓いを胸に秘めてから二年間、猛勉強した。
 医学、哲学、天文学、そして悪魔に関する魔術もマスターした。

 そのかいあってか、合格が決まり、約一日半かけて王都にたどり着いた。

 医学研修所は少し離れた崖の上にあった。
 王都への被害を最小限にするためだ。

 
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