Wild Rock


 ここは全寮制。
 研修が無事終了するまでは出ることのかなわない鳥かご状態。

 アタシは部屋に案内された。
 日がよく当たる暖かな部屋に。
 ベッドとクローゼットがあって、いたってシンプルだ。

 でもなぜか空気がどんよりとしていて、気持ちが悪い。
 日が当たるから、逆に清々しいはずなのに、気持ち悪い。

 どうして…?

 そんな疑問を抱きながら半年がすぎた。
 授業内容も至って普通。
 生徒も女の子が大半を占めていて、アタシ的には丁度良かった。

 なぜなら、アタシは女装して入っていたから。

 入る前にいろいろ調べてわかったことがある。
 一つは、試験合格者の八割が女の子だということ。
 そしてもう一つは、医学研修所は表の顔だということ。

 夜な夜な風にのって聞こえてくる声。
 それは新月の夜になると大きくなる。

 ペンライトを持って、声のする地下へと足を進める。
 階段を下りれば、目の前は行き止まり。
 でもどこからともなく声は聞こえてくる。

 壁に手を当てて何かないかと探すが、ドアノブらしきものも見つからなかった。

「これは…?」


 
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