Wild Rock

 サタナキアは必死で叫ぶアタシを高らかに笑い、瞬時にアタシの目の前にやって来た。

「ホホホッ。わたくしはそなたが気に入った。我が配下となることを許してやるぞ?」

 顎に手を添えられながら言われたと同時に、腹部に激痛が走った。

 視線を落とすと、サタナキアの腕が、アタシの腹を貫いていた。

「ぐっ…ぅごふっ…」

 大量の血が口から吹き出し、滝のように流れ落ちる。

「我が力を、そなたに分け与えてやろう。そして、卑しき人間などという生を失せ、滅美という名の魔族へと生まれ変わるがよい」

 腹部に熱が、血管や神経、心臓や臓腑にまで力が入り込んでくるのがわかる。

「古き名を捨て、新しい名を与えてやろうぞ。人間より獣へと変貌した魔物の名である、ファブニルと名乗るがよい」

 復讐にやってきたというのに、アタシは逆に殺され、嫌悪する悪魔に生まれ変わってしまった。

 力を注ぎ込まれている中でも、サタナキアの復讐の血はたぎる。

「な…汝バフォメット…真の名のもと…地獄へ帰れええぇっ!」

 真の名を呼ばれたサタナキアは真実の姿を現し、あたしは剣で奴の額を突き刺した。

 
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