幕末オオカミ
あごに、指がかけられた。
上を向かされ、そのまま唇を奪われる。
桝屋のそれと同じ行為なのに、芽生える感情はまったく逆のもの。
あたしは強く、総司の背中を抱きしめた。
────大好きだよ。
絶対、死なないで…………。
名残惜しさが、糸を引く。
深い口付けのあと、総司は笑って言った。
「……お互い、生きて帰ろうぜ。
これが、最後にならないように」
あたしは、黙ってうなずいた。
笑ったつもりだったけど、ちゃんと笑えただろうか。
どうか、無事に帰れますように。
どうか、総司が死んだりしませんように。
どうか、新撰組の誰も死んだりしませんように。
あたしは、祈らずにはいられなかった。