幕末オオカミ
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楓を送り出したあと、俺は刀を持って、隊士が集まる大部屋へ向かった。
皆それぞれの武器を手入れし、鉢金(ハチガネ)や鎖の着込みを蔵から運んでいた。
……あの蔵、もう使えないだろうな。
古高の血のにおいがプンプンするあそこで寝かすのは、可哀想だ。
こんな緊急事態に、女のことを思ってしまう自分に苦笑がこぼれる。
ああ、俺はここまでイカれちまったか。
「総司……お前も行くの?」
刀の目釘を確かめていたら、平助が遠慮がちに声をかけてきた。
「当たり前だろ」
「体、大丈夫なのか?
山南さんは一昨日の徹夜がたたって、熱が出たって。
出動は無理らしいよ」
「ああ、特製簪のせいか……」
そういえば、さっき会った時も顔色が悪かったような……。
寝かせてやりゃ良かったな。
二人でおしかけて、悪い事をしてしまった。