幕末オオカミ


気がついて見渡せば、隊士のほとんどが、その隊服を身につけていた。


平助くん、斉藤先生、原田先生。


誇らしげに、その浅葱色をまとって、家紋を見せ付けあっている。



「しんぱっつぁん、意外に気がきくじゃん!」


「平助、なんだよ意外って。
討ち入りはコレに限るだろ」



今から斬り合いに行くというのに、隊士たちはわいわいと笑いあっていた。



「これだったのか、荷物って」


「え?」


「それにしても、暑いよな……皆汗だくじゃねえか」



確かに、真夏に羽織は暑い。


しかも今日は、着物の下に鎖の着込みを着ている人もいるし。


しかし、誰一人として。


浅葱色の羽織を放る人間は、いなかった。


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